2011年9月5日月曜日

シングルモルト アードベック12年


アイラの巨匠アードベックを飲んでみました。
このアードベックは村上春樹の著書。
「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」で、
アイラのピーティなシングルモルト中でも、
一番個性が強いと評価しているシングルモルトです。
アイラ島はもともとラフロイグ、ボウモアと、
ピーティなシングルモルトの産地で有名なんですが、
その中でも強烈な個性を放っているのが、
アードベックです。
吉村宗之の「うまいウィスキーの科学」では、
アードベックのティストをこんな風に表現しています。
舌を包み込む土っぽいテクスチャーと、
まるで液体の煙を飲んでいる様なスモーキーさが、
複雑に絡み合って、
口の中に含むと、潮風、リンゴ、草原、漁船、
オイル、塩素、タールなどの風味が次々に押し寄せてくる。
と、こんな事が書いてある。
最初、ぼくはこの批評を読んで、
ウィスキーのティストの説明に「漁船」「塩素」「タール」、
なんて感じるウィスキーって人間の飲み物なんだろうかって、
本当に読みながら絶句してしまいました。
ウィスキーの中に「漁船」の味があるって、
そうとうシュールです。
「漁船」は何かの喩えなのか文字通り「漁船」が、
口の中で広がるのか、
昨日、満を持して飲んでみたわけですが、
でも「漁船」「塩素」「タール」が、
口の中で広がったら間違いなく死にますね。

しかし予想に反して本当に美味しいです。
僕はテイストの中に「漁船」を感じる事はできませんでしたが、
ちゃんとしたフルーティさの中に、
土臭いピーテイな味わいが口の中で幾重にも広がり、
ボデイが厚いので長く余韻を楽しませてくれます。
もの凄く個性的で、あらっぽいですが、
僕はラフロイグよりスモーキーさが、
全体の中にとけ込んで、まとまっている様な気がしました。
癖になってしまう味です。

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