2009年11月19日木曜日

ダンス・ダンス・ダンス

「ダンス・ダンス・ダンス」は村上春樹の「風の歌を聴け」、
「羊をめぐる冒険」の3部作の一番最後の小説になります。
僕は「風の歌を聴け」は1回読んだだけです。
「羊をめぐる冒険」は3回位、読み返したと思います。
「ダンス・ダンス・ダンス」に関しては何回読み返したか、
はっきり覚えていません。
写真に上巻が写っていないのは上巻を無くしてしまい、
新しいものに買い替えたからです。
何度も読み返して愛着のある下巻だけ撮影しました。
「ダンス・ダンス・ダンス」のどこが、
そんなに面白いのか、
これを聞かれると本当に困るのですが、
うまく説明できないんです。
起承転結がはっきりしているものなら、
どのように面白いのか表現できると思うのですが、
話の筋見たいなもので説明すると、
どのように面白いかの説明にはならないんです。
むしろ話の筋なんかは、
どうでも良いのかも知れません。

(これより先ネタばれ有り)
「ダンス・ダンス・ダンス」は
「羊をめぐる冒険」で失踪したキキという女性を
「僕」がイルカホテルに探しに行く所から始まります。
キキを探し続ける中でユキと言う
13歳の少女と友達になるんです。
この「ユキ」と「僕」と同級生の「五反田」君が
縦糸になり、お互いの心の中の闇を照らして、
その闇を解読していく作業を、
ダンスのステップを踏むように、ゆっくりと正確に、
繰り返して行く事が、この小説の骨子になるのです。
同じような心の中の闇と言うか、
重い「しこり」の様なものが
誰もの心の中にも有ると思います。

当然、僕の心の中にもあります。

この小説はその心の中の重いしこりを、
「ユキ」、「僕」、「五反田」君の
心の闇を読み解く行為の中で僕の心の中の
重いしこりをも解きほぐしてくれるんです。

僕がこの小説をトランキライザーと、
感じるのは村上春樹自身も、
自分の心の中にある重いしこりを、
「ユキ」、「僕」、「五反田」を
メタファーにして解放しているんだと思います。

この小説の「僕」は僕自身であり、
あなた自身でもあるんです。
この「僕」の心の中の重いしこりは、
僕自身のものであり、あなたのものかもしれません。

僕は村上春樹の小説は自分自身の、
心の中を旅をするための小説だと思います。

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